Book Review

「同じ釜の飯」(中野嘉子+王向華、平凡社)
人口680万の香港で松下電器の炊飯器が800万台売れた。そのわけを海外で香港の販売代理店と松下本社との関係から読み解いています。要は、日本人が開発したものは日本で売れても、必ずしも海外で売れるとは限らないということ。


「物乞う仏陀」(石井光太文藝春秋)
海外(東南アジア、南アジア)の障害者の話です。インドでは不思議と手足のない物乞いが多い。カンボジアなどでは、地雷によって手足を失う人が多いが、インドではそういう理由もない。インドでは、乞食の両親が自分の子供がより多くに人から同情をうけ、立派に乞食として生きていけるように、子供の体の一部を切るなどして、わざと障害者にする、といううわさを聞いたことがある。それは単なるうわさで、真相はもっと悲惨なものだった。長年の疑問が解決したのは良いが、読後感は気が重たくなるものだった。こういうテーマで書かれた本は少ないので、おもしろいのだが。