グラミンフォンという奇跡

久々に読んだ”すごく”面白かった本。


バングラディシュで初めての携帯電話会社設立の話。


世界最貧国のひとつに挙げられるバングラで、しかも現金収入のほとんど無い人がたくさん住む農村部をメインターゲットとして、果たして携帯電話ビジネスが成り立つのか?結論を言うと成りたち、携帯電話会社グラミンフォンは1999年から純利益を上げるようになった。


主人公イクバル・カディーアが設立時に経験した苦労話がまとめられている。特に、政府からの許認可(公的機関がまともに機能していない、汚職・賄賂だらけ)、パートナー企業や投資家の説得(要は儲かるのかどうかを根拠立てて説明しないといけない)などなど、とても苦労したのがうかがえる。


この本を読んで、いろいろなことを思う。


僕の働いている会社(メーカー)は、ターゲットとしてまずは日本・欧米を含む先進国向けの商品企画がほとんど。それ以外向けでも、せいぜいBRICs向けまでで、いわゆる最貧国向けなんてありえない。


でも、上手くやれば商売になって、会社も儲かり、そこに住む人たちもメリットを享受できるのだなと。僕の専攻する化学分野では、住友化学が殺虫剤を練りこんだ蚊帳を開発し、アフリカ向けに売っているという話を思い出した(儲かっているのかは分からないが…)。


僕の人生のいくつかの目標のうちの一つに、貧しい人たちのために何か役立つことをしたい、ということがある。今の会社で働いているうちは貢献できないな、と諦めていた。でも、上手い商品・サービスを考え出すことで貢献できる可能性があるのだな、と少しだけ勇気を与えてもらった。

グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]
東方 雅美

英治出版 2007-07-12
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