家庭金融資産「活用」論

東洋経済に面白い記事があった。池上和人氏の「家庭金融資産「活用」論への違和感」という記事だ(http://www.vcasi.org/node/542)。確かにその通りだと思う。

しばしば「わが国の強みは1400兆円にも及ぶ家計金融資産が存在することであり、それを経済成長のために有効活用すべきだ」といった見解が述べられることがある。しかし、筆者自身は、この種の見解には違和感がある。
(中略)
われわれ個々人は国債を買っているつもりはなくても、銀行に預金したおカネで、銀行が国債を買っているので、家計の貯蓄は財政赤字の穴埋めに使われている。実質的に家計純金融資産の約5割が有効活用されずに、国債保有に充当されているがゆえに、GDPの二倍の政府債務を抱えていても「平穏無事」なのである。
(中略)
要するに家計金融資産をネットでみて取り崩さざるを得なくなった時点で、これまで財政赤字を続けてきたことの帰結に日本人はいや応なしに直面せざるを得なくなる。そのときに財政赤字の穴埋めに使ってしまったおカネは、どこにも実は残っていないのだから、それをいかなる形であれ、使えるわけはないという不都合な真実を知ることになる。


その日は、人口構成と貯蓄率の動向から判断して、それほど遠い将来ではないと予想される。高齢者世代が将来に不安を感じて金融資産の保有を続け、それを取り崩して消費に向けようとしないことは、その日を遠ざけている。しかし、その日が永久に来ないことはあり得ない。


その日がくると、どういうことになるか分らないが、日本国債が叩き売られ、ジリジリと長期金利が上昇しインフレがひどい世の中となるのでは。巷ではデフレと騒がれているが、10年・20年スパンでは、逆に金利上昇・インフレに悩まされるのではないかと思う。


その日を遠ざけるには、国債の発行量を抑え、借金を返済する為に為に、増収・支出減するしかなく、1.GDPの成長、2.増税、3.政府の支出削減、の3つの解決策しかない。やろうと思えば確実に実行できるのが1.と2.。さて、どういう風に解決するのかな。


とりあえず、10年定期預金だけは使わないで置こうと心に決めた。