東アフリカのマタトゥ

東アフリカ(ケニアタンザニア)では「マタトゥ」と呼ばれるミニバス(バン)が、乗り合いのバスとして移動手段として使われている。都市間の移動に使われるマタトゥの多くがトヨタハイエースワゴンだ。そしてその多くが、日本から輸出されたと思われるものだ。たとえば、○○市消防署と書かれた救急車、△△幼稚園、○○建設という名前の書かれたハイエースなど。

旅行中、なぜ多くの日本車の中古車が東アフリカにあるのか不思議に思っていた。その旅行中、ある人との出会いでその疑問が解けたので、そのことを書く。

2000年3月、ケニアを旅行中、そのパキスタン人とはケニアの港町モンバサで出会った。滞在中の安宿で、いきなり日本語で「日本人か?」と話しかけられた。日本で出稼ぎしていたそうだ。そのあと、飯を食いながら「マタトゥ」の話を聞いた。

彼は数年間、日本の建設現場で働いていた。日本では建設会社の車はハイエースワゴンのことが多い。だからかどうか知らないが、彼は解体屋から廃車になったハイエースワゴンを買い取って、アフリカへ輸出するビジネスを思いついた(そういうビジネスがあるのを知り、彼も始めたというほうが正しいと思う)らしい。

彼曰く、当時解体屋では廃車のハイエースが1台2・3万で買えたらしい。これを東アフリカまで船で輸送するコストが1台10万円程度。こうして、輸送したハイエースが東アフリカでは1台50万円から100万円程度で売れるらしい。

東アフリカの国々はイギリスの植民地だったところが多いので、車も左通行で右ハンドルだ。だから、日本の中古車はうってつけらしい。右ハンドルのハイエースワゴンは日本のほかパキスタンなどでも生産されているらしいが、やはり日本で生産されたものがブランドがあり、人気とのこと。日本製なら走行距離50万km位は故障せずに走るから、人気だとか。日本の会社の名前を消さずに使用しているのは、この車は日本製だと自慢している為かもしれない。

ところで、最近彼は弟をガーナに送ったと言っていた。西アフリカへの拠点を築く為だそうだ。さすが印僑

また、最近の日本車はオートマチック車が増えて東アフリカに輸入できなくないものが増えた、ともこぼしていた。アフリカでは修理技術が高度でないので、修理の簡単なマニュアル車しか売れないそうだ。現在の日本では、営業車に使われることの多いハイエースでも、9割程度がオートマだろう。ということは、現在の東アフリカでは日本の中古ハイエースはあまり無いかもしれない。かわりに、パキスタンの中古が出回っているかもしれない。